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2014年9月11日木曜日

珍味なる乾酪

領事館員この日余の来るを待つ由。兼ての約束なれば痛風気味の足を引き摺り赴きしに電話と郵送で済むべき野暮用なり。余生来偏屈にて物に義理がたく徃ゝ馬鹿な目に逢ふことあり。帰途近巷散歩途上、旧知の伊太利亜料理店主人を訪ふ。葡萄酒傾けしばし款語にうつつを抜かす。テストゥン・アル・バローロなる表皮に葡萄の搾り粕を纏つた乾酪を振舞われる。当地では手に入れること難く僅か二度目に食す珍味なり。この乾酪百匁ほどと赤葡萄酒二本を分けて貰い徒労の苛立ち霧散す。