このブログを検索

2013年11月19日火曜日

献本

前からいささか気になっていたのだが、ツイッター上で、献本ありがとうございますというたぐいのツブヤキがしばしばなされる。

あれを他人はどう受け取っているのだろう。

ここで他人というのは、とくに自分は献呈されるはずだと思いながら献呈されない人たちのことだが。

「あんなヤツにまで献本しているのに、なぜオレのところにはないのか」、などということが起ってはいないのだろうか


献本の礼をいうのを諌めるつもりはないが、返礼は本来個人間のあいだでなされるものではないか。
                                                        
公の返礼は、著者との親しい関係を誇示しているようにも受けとられかねないし、返礼者の他者へ心遣いの繊細さの欠如を感じてしまうのだが、こう感じるのは、わたくしだけのことなのだろうか。

たぶんお礼を言うものは、著者名と著書名の「記号」をより流通させる効用を感じて、そうするという積極的な面もあるのだろうが。



――と書いてインターネットを検索してみたら、次のような指摘がある。これは言葉遣いの指摘で、上と関係ないのだが、附記しておこう。
                                                           

…………

本を送られた側が「献本」というのはやめましょう


ブログやTwitter等で、新刊書籍の著者や編集者などから本を送られた方々が「献本いただきました」などといっているのがよく目につきますが、間違いです。

「献ずる」は「神仏や身分の高い人に差し上げる。たてまつる」(三省堂 大辞林より)という意味ですので、もらう側が「献本」という言葉を使うのは、

間違った言葉を使っている
自分は偉いので相手が「献ずる」のは当たり前だと考えている
のいずれかです。2番のような気持ちを本当に抱いているなら(社会常識的にどうかとは思いますが)間違いではないのでよいのですが、そうでないならば、あらためるほうがよろしいでしょう。

ではどう表現すればいいか。

(ご)本をいただきました
普通はこれで十分でしょう。「献本」などという慣れない言葉を無理に使わず、シンプルに表現すればよいと思います。

(ご)本をちょうだいいたしました
などといってもいいでしょう。

他には「恵投」「恵贈」などという言葉を使うと、よりフォーマルに感謝の意を表明できます。

ご本をご恵贈(投)いただきました
というような感じですね。いずれにせよ、本を送られた側が「献本」というのはよろしくありませんので、適切な言葉遣いを心がけましょう。