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2014年3月25日火曜日

資料:韓国の自殺率と出生率

韓国は自殺大国として名を馳せているが、すこし調べてみたら次のような状況らしい。




この図表では、韓国がロシアを抜き自殺率トップとなっている。だが、より広範に調査されたデータでは、リトアニアが第一位で、韓国が第二位となっている→自殺率国際比較(2012).。だが自殺率の急上昇が目立つのは韓国であることには変わりがない。

ただし自殺統計の方法が各国同一であるかどうかはその保証は全くないらしい。

Incidence of suicide tends to be under-reported due to both religious and social pressures, and possibly completely unreported in some areas.》(Wikipedia [List of countries by suicide rate])

WHOの統計によると、変死として扱われる人のうち、その50%程度は自殺者だという。実際に欧州では変死者数の半数を年間の自殺者数に含めている国が多い。が、日本は含めていない。(統計の嘘の見抜き方

ーーなどという記事があるが、信憑性の多寡については不明。

比較的信頼のおけそうなグローバルノート - 国際統計・国別統計専門サイトには次のように記されているのみ。

WHOの自殺の定義は、致命的な結果になることを十分理解し且つ予期している者が、意図的に遂行する行為であるが、各国での死因の特定・証明方法が異なるので各国間の単純比較には注意が必要である
What is the suicide rate in Bolivia? Indonesia? Kenya or Taiwan? No one knows because government officials in these countries either do not collect or do not report official suicide statistics. Indeed, there are more than 100 nations that do not report suicide statistics to international organizations such as the World Health Organization.(Estimating Suicide Rates in Nations that Do Not Report Suicide Statistics)

ここでは、かつて次のような発言があったことだけを示しておこう。

いま、中高年の自殺が二万人とかいわれているけれども、あれは自殺決行後二四時間以内に死んだひとの数らしい。三日後に死んだひとは、統計上は自殺未遂になるという。それを入れると倍ぐらいになって、死ななかったひとまで含めると、一〇万とか、二〇万人っていってた。(村上龍発言 柄谷行人との対談2000.10.25 『NAM生成』所収 P111)


韓国の自殺の話に戻れば、とくに高齢者自殺率が目立つという記事がある。


【社説】韓国の高齢者自殺率、日米の4~5倍とは(中央日報 2012.9.11)

高齢者自殺率は10万人当たり81.9人で全体平均の2.4倍だ。日本の17.9人、米国の14.5人の4~5倍水準だ。2010年の全自殺者の4人に1人以上に当たる28.1%、4378人が高齢者だ。

…………


◆韓国の年金制度(SAPIO2014年3月号

韓国で一般国民を対象にした国民年金制度が導入されたのは1988年。当初は「従業員10名以上の事業所で働く労働者」が対象で、国民皆年金が実現したのはわずか15年前の1999年だ。

 国民年金は「事業所加入者」(企業就労者)と「地域加入者」(自営業者など)に大別され、前者は保険料を労使で折半。後者は全額個人が支払う。専業主婦などの任意加入も可能だが、韓国国民年金研究院による昨年の調査では国民の約4割がいずれの年金にも未加入だった(15歳以上の世帯で所得のある者を対象とした調査)。

 制度導入当時、基準所得額(日本の標準報酬月額に相当)の3%だった保険料率は段階的に引き上げられ、現在は一律9%となっている。また現行の受給開始年齢は60歳だが、2033年までに65歳まで引き上げられることが決定済みだ。韓国の就労者の実質的な定年は50歳代。受給開始までの数年間、場合によっては10年以上も無収入になる恐れがある。

 それだけではない。税金を投入しないため、年金支給額も減らされ続けている。40年間加入した場合の給付額の所得代替率(現役時代の収入に対する割合)は当初の70%から60%(1998年)、50%(2007年)と引き下げられ、今後も毎年0.5%ずつ引き下げて2028年に40%にすることが決まっている。

 昨年、国民年金を管理・運用する国民年金公団(NPS)が1955~63年生まれ(ベビーブーム世代)の年金加入状況を元に、彼らが将来的に受け取る年金を試算。1人当たりの平均受給月額は約46万ウォン(約4万4000円)となり、生活保護の現金給付月額約49万ウォン(約4万7000円)を下回った。

 一方で、この世代の実に50.8%が年金未加入という調査報告もある。被保険者の配偶者を対象とする「第3号被保険者」のような制度がなく、女性の任意加入者は少ない。なお、最低加入期間の20年を満たさない場合は受給額を大幅減額されるため、手にする金額は日本円で数千円ということもある。

 それでも、年金を受け取れる世代はまだ恵まれている。韓国では制度開始からわずか25年余りで早くも年金制度崩壊の危機が叫ばれているからだ。亜細亜大学アジア研究所・奥田聡教授が語る。

「韓国の少子高齢化は深刻で2026年には老齢人口比率が20%の超高齢社会になります。現在、現役世代6人で高齢者1人を支える世代間扶養比率が30年後には1.6人で1人を支えることになる。今後、保険料率と受給年齢を段階的に引き上げたところで将来的な制度の維持は極めて難しい。政府は年金財源の枯渇を2060年ごろとしていますが、かなり甘い見通しと言わざるを得ません。政府は税金を投入する余裕もない」

ーーこの記事もどれだけ信頼の置けるものかどうかは検証せずに、おそらくほぼ正しいのだろう、という前提で以下の文を書き継ぐ。

《韓国の少子高齢化は深刻で2026年には老齢人口比率が20%の超高齢社会になります》とあるが、各国の高齢化比率推移・予測は次の通り。




日本が世界一の少子超高齢化社会であるのは、しばらくは「安泰」であるが、社人研推計ではなく、国連推計であれば、2060年頃に韓国が日本を上回り始めるデータとなっているのが分かる(ただし50年後の人口予測というのは、あまり当てにはならない、としておこう。少子化という言葉が日本で流通しだしたのは、1990年前後で、それまでまったく予測されていなかったと言ってよいらしい)。


※参考:大和総研の「超高齢日本の 30 年展望 持続可能な社会保障システムを目指し挑戦する日本―未来への責任」(理事長 武藤敏郎 監修 調査本部)より

人口予測は経済予測よりも確実だという言い方がよく聞かれるが、それは今から 50 年前に現在の 人口構造をほとんど予測できなかったことを忘れた議論である。 「少子化」という言葉が登場したの は 1990 年代になってからのことであり、 1980 年代まで私たちは現在ほどの少子高齢化を想定できな かったのである。恐らく、私たちは今から 50 年後の人口構造を正しく予測することはできないだろ う。 これまで各時点で人口の将来推計は行われてきたが、 将来推計人口とは、 あくまでも最近の傾向を 延長して将来に投影したプロジェクションにすぎない。そこには例えば賃金や価格の変化によって 人々の行動(出生行動や居住地の移動)が変化するという要素は組み入れられていない。50 年先の 人口構造は、 現在の傾向の延長線上にあるのではなく、 人々の考え方の変化や経済動向などによって 大きく変化すると考えた方がよいだろう。だからこそ経済成長は重要なのである。 とはいえ、今後の 20~30 年先までについて言えば、人口推計結果に近い現実が訪れる確率はかな り高い。
高齢化先進国の日本の場合、老年人口指数で言えば、既に 2010 年時点で 100 人の現役世代が 35 人の高齢者を支えており、2020 年には 48 人、2050 年には 70 人を支える必要があると予想される(いずれも国連推計であり、社人研推計ではより厳しい)。
賃金対比でみた給付水準 (=所得代替率) は、 現役世代と引退世代の格差―老若格差―と言い換えることが可能である。この老若格差をどうコントロールするかが、社会保障給付をどれだけ減らすか(あるいは増やすか)ということの意味と言ってよい。少子高齢化の傾向がこのまま続けば、いずれは就業者ほぼ 1 人で高齢者を 1 人、つまりマンツーマンで 65 歳以上人口を支えなければならなくなる。これまで 15~64 歳の生産年齢人口何人で 65 歳以上人口を支えてきたかといえば、1970 年頃は 9 人程度、90 年頃は 4 人程度、現在は 2 人程度である。医療や年金の給付が拡充され、1973 年は「福祉元年」といわれた。現行制度の基本的な発想は 9 人程度で高齢者を支えていた時代に作られたものであることを改めて踏まえるべきだ。

…………

韓国の年金の平均受給月額は約46万ウォン(約4万4000円)というのは、物価水準を考慮しても(参照:世界の物価比較)、その額の低さに驚くが、韓国の国民負担率(租税負担率と社会保障負担率の合計)は、財務省の資料:OECD諸国の国民負担率(対国民所得比)を参照。資料が細かくて見にくいのでここでは添付しない(この資料の時点では、韓国は日本より6%ほど負担率が低いのが分かる)。かわりに主要国家の国民負担率の図表(韓国は含まれない)を貼り付ける。


国民負担率の国際比較





西欧諸国に比せば、国民負担率を上げる余地が、日本にはあることがわかる(その具体的な方法は、消費税増ということになるのだろう)。

消費税問題は、日本経済の形を決めるビジョンの問題。北欧型=高賃金、高福祉、高生産性か。英米型=低賃金、自助努力、労働者の生産性期待せずか。日本は岐路にある。(岩井克人


※参考
日本の財政は、世界一の超高齢社会の運営をしていくにあたり、極めて低い国民負担率と潤沢な引退層向け社会保障給付という点で最大の問題を抱えてしまっている。つまり、困窮した現役層への移転支出や将来への投資ではなく、引退層への資金移転のために財政赤字が大きいという特徴を有している。(DIR30年プロジェクト「超高齢日本の30年展望」

参考2:「貨幣」から読み解く2014年の世界潮流(岩井克人)

これまで日本は、GDP比200%以上という巨額の債務残高にもかかわらず、長期金利がほとんど上がらなかった。その理由は、失われた20年で良い融資先を失った日本国内の金融機関が国債を保有していることもあるが、同時に「消費税率を上げる余地がある」と市場から見られていたことも大きい。社会保障を重視する欧州では20%を超える消費税が当たり前なのに、日本はわずか5%。いざ財政破綻の危機に瀕したら、いくら何でも日本政府は消費増税で対応すると考えられてきたのだ。

 消費増税は、もちろん短期的には消費に対してマイナスだろうが、法人税減税などと組み合わせれば、インパクトを最小限に抑えることができる。重要な点は、消費増税によって財政規律に対する信頼を回復させ、長期金利を抑制することだ。実際、消費増税の実施が決定的となった昨年9月には、長期金利は低下した。

現在、2015年に消費税率を10%に上げることの是非が議論されているが、私は毎年1兆円規模で肥大するといわれる社会保障費の問題を考えても、10%への増税は不可避であり、将来的にはそれでも足りないと思っている。むしろ、アベノミクスの成功に安心して10%への増税が見送りになったときこそ、長期金利が高騰し、景気の腰折れを招くことになるだろう。

このような議論をすると、「1997年に消費税を3%から5%へ引き上げたあと、日本経済は不況に陥ったのではないか」との反論が上がる。しかし当時の景気減退は、バブル崩壊後の不良債権処理が住専問題騒動で遅れ、日本が金融危機になったことが主因である。山一證券や北海道拓殖銀行の破綻は、小さな規模のリーマン・ショックだったのである。

また、「消費税は弱者に厳しい税だ」という声も多い。だが、消費額に応じて負担するという意味での公平性があり、富裕層も多い引退世代からも徴収するという意味で世代間の公平性もある。たしかに所得税は累進性をもつが、一方で、「トーゴーサン(10・5・3)」という言葉があるように、自営業者や農林水産業者などの所得の捕捉率が低いという問題も忘れてはいけない。



さて最後に、各国の出生率の図表をみてみるが、ここでも韓国の推移は驚くべきものとなっている。


各国の合計特殊出生率推移




…………

※附記

自殺率の話ではないが他国の死亡統計をめぐって。わたくしは東南アジアのある国に住んでいるのだが、たとえば交通事故で病院に収容されるとする。家族は負傷者がもう助からないと観念したら、病院から家に連れて帰ろうとする習慣がある。すると、おそらくこの死者は、統計上は、おそらく交通事故死と扱われていないことになるはずだ。

今はそれほどでもないが、十年ほどまえは、バイク事故で血まみれになった負傷者が道にころころ転がっていた時期がある。どうもこの国の交通事故者数の統計は過小評価されている、としばしば疑ったものだ。

もちろんそんな国では、交通事故負傷者の統計はさらに信憑性が低い。それは次の表の負傷者数と死亡者数の割合を眺めたら一目瞭然。日本では、交通事故負傷者数の0.8%が死者であるのに対し、たとえばインドネシアでは63パーセントを越えた数が死者。


◆「ASEAN諸国諸国における交通事故データの整備状況と今後の取り組み」より
http://www.jsce.or.jp/library/open/proc/maglist2/00039/200506_no31/pdf/193.pdf