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2014年2月7日金曜日

消費税率は「2030年代中頃までに25%ぐらいにならざるを得ない」(武藤敏郎)

まあそう苛立つなよ
すこしは経済に興味があったほうでね
バブル時代の職業柄だがね
少なくとも己れが
「知らないということを知っている」のだよ
貴君は優秀そうな「正義」の味方のようだから
「知っているということを知らない」のだろう
これが「無意識」ってやつさ
「知らないということを知らない」ような手合いが
跳梁跋扈するなかではお互いましなほうさ



いま消費税増に反対するのは実質上社会保障費削減に賛成することだぜ
――この見解はゆずりがたいな

日本に住んでいたら誰もがいやに決ってるさ、消費税増なんて
でも超高齢化社会の国民負担率が低水準のままやっていけるはずはない
ってのは目を塞ぎようがないコンセンサスだよな
ちがうかい?
湯浅誠だって内閣府参与になって実状知ったら
おとなしくなっちゃったよな





この三十年来目先の不快を先送りにしてどん詰まりになったのは
先行世代のせいさ、もちろん
やつらが悪いだけでそれをオレたちに皺寄せするなよな
ってのが若い世代の苛立ちだってのはわかってるよ
でも消費税増の必要性を語っただけで御用学者の括りに入れるなんてのは
先行世代と同じ資質であるにはちがいないぜ

加藤周一氏は、「今日も残る戦争責任」の記事の中で「生まれる前に何が起ころうと、それはコントロールできない。自由意志、選択の範囲はないのです。したがって戦後生まれたひと個人には、戦争中のあらゆることに対して責任はないと思います。しかし、間接の責任はあると思う。戦争と戦争犯罪を生み出したところの諸条件の中で、社会的、文化的条件の一部は存続している。その存続しているのものに対しては責任がある。もちろん、それに対しては、われわれの年齢の者にも責任がありますが、われわれだけではなく、その後に生まれた人たちにもは責任はあるのです。なぜなら、それは現在の問題だからです。」(「加藤周一 戦後を語る」かもがわ出版  (Ⅴ 戦後世代の戦争責任・・・今日も残る戦争責任)81ページ記事引用)

戦争責任のはなしをするつもりはないよ
日本の財政のはなしさ
目先の不快を言い募り、将来の大きな問題を先送りにする精神
その社会的、文化的条件はいっそう際立っているんじゃないかい?
インターネット上で脊髄反射的に苛立って徒党を組むあれらの連中は

もちろんオレがいまこんなことを書けるのも
二十年まえ日本脱出して消費税増も社会保障費削減にも
ほくそ笑んでさえいればいい立場であるのは自覚してるよ

バブル時代に引き返せない道」ってのを読んだのが大きかったな
当時一時的に銀行系の「研究所」なるものの
下っ端の資料集めの役をしていたのだがね
この上司たちの楽観性、バカジャネエカと思ったね

つまりは資本主義的な現実が矛盾をきたしたときに、それを根底から批判しないまま、ある種の人間主義的モラリズムで彌縫するだけ。上からの計画というのは、つまり構成的理念というのは、もうありえないので、私的所有と自由競争にもとづいた市場に任すほかない。しかし、弱肉強食であまりむちゃくちゃになっても困るから、例えば社会民主主義で「セイフティ・ネット」を整えておかないといかない。(浅田彰 シンポジウム『倫理21』と『可能なるコミュニズム』2000.11.27)

浅田彰の発言にある「弥縫」ってヤツで長年やってきたんだから
将来もなんとかなるさってのがわれわれ日本人の大半なんだろうけどさ
いまさらアベノミクスにだけ期待するわけにもいかないぜ
あるいはベーシック・インカムの導入なんて夢物語をみているだけでもね
スイスで国民投票があったじゃないかって?
あんなの実現したら日本での導入がもっと困難になるんじゃないか
いくら頑張ったって日本では10万円が限界らしいから
人口八百万弱の国だからなあ


田中:僕の事務所がある尼崎市は約20万世帯なんだけど、そのうちの実に1万823世帯が被保護世帯。20軒に1軒の割合だよ。日本全体でも120万世帯を超えていて、ここ数年急増しているんだ。生活保護を受けると、親子3人で月額16万2170円の生活扶助基準額のほかに、出産費用を含む医療費が全額無料になり、更に住宅扶助、子どもの学用品、給食費も扶助の対象になる。もちろん、消費税以外は税額ゼロ。20、30代の単身者でも生活扶助費だけで月額8万3700円。で、何が問題かというと、いったん生活保護を受け始めた人はその状況から抜け出せないのではなく、結果として抜け出さないということ。だって、真面目にタクシードライバーとして働くよりも「豊かな日々」を過ごせるんだもの。毎年、生活保護から脱却するのは全体の1割。ところが、その中の半数は高齢者を中心とする死亡。他の自治体への転出等を除いた、収入増で脱却するのは全体の2%程度にとどまっている。で、国全体で年間3兆円も投じられているんだよ。

「働きたくても働けない」というより、「働けるけど働きたくない」人が大勢いる。これこそ、鳩山首相がガンジーから引いた「労働なき富」じゃないかと。もちろん、障害者や高齢者、短期的に母子、父子家庭になった人は健常者たちと同じスタートラインに立てないから支援すべきだけど、「健常者」が生活保護を受けるケースが増加しているなら、「働かざる者食うべからず」という諺を教科書から消さなきゃいけなくなる。前から言ってるけど、人口構造も逆ピラミッド状態で、制度をいくらいじったって、年金制度が維持できる訳もない今、ベーシック・インカムのようなドラスティックな方法を取る必要があると改めて痛感するね。

浅田:昔、北海道で、旭川あたりから札幌の病院にタクシーで通わなきゃいけないとか言って、その交通費を数千万円請求してたって事件があったね。まあ、そういうのはヤクザがらみだったりする特殊なケースで、すべての人がそうだってわけじゃない。しかし、役所で裁量的に誰に支給を認めるか決めるようなシステムは、やっぱり危うい。そういう裁量の余地をなくして、赤ちゃんから老人まで誰にでも一律に支給するのが、ベーシック・インカムのいいところではあるんだな。

田中:そうなんだよ。1人月額5万円から7万円を支給して、後は自己責任というかたちでね。日本では自己責任というと切り捨てるという先入観が強いけど、個々を見ていけば、誰だって苦しいんだという言い分はあるから、逆にそれが裁量行政で族議員や既得権益団体がつけ込む隙にもなっているんだ。デンマークをはじめとする北欧でベーシック・インカムを導入し始めているのも、福祉垂れ流しではない、きめ細かさと効率的なアウトカムを求める中で理解されているんだよ。民主党のなかでも、組合出身じゃないような中堅や若手議員は、党大会の来賓挨拶で僕が提唱したらけっこう、賛同しているんだけどね。


自分の国の事故なのにドイツのように脱原発宣言できなかったり
消費税8%や10%で文句がでるような国で
ベーシック・インカム導入なんてのは忘れたほうがいい
なんてことはオレはいわないがね
ひょんなことで奇跡はおこるかもしれない

BI制度は資本主義の最終形態だとか
資本の論理が悪用するだろうとも
ジジェクは言っていたはずだが
さてどこでだったか
いまはさしあたりこのインタヴュー記事を引用しておくよ
……popularised in Europe and latin America, of basic income. I like it as an idea but I think it's too much of an ideological utopia. For structural reasons, it can't work. It's the last desperate attempt to make capitalism work for socialist ends. Interview with Slavoj Zizek - full transcript

柄谷行人はBI制度に賛成してもいいはずだが
たぶん一国だけでそんなものを導入してもダメだという立場なんだろうな
「世界共和国」のひとだからな
ジジェクも似たようなもんじゃないか
「コミュニズムよ、ふたたび」だからな

「世界史は、ヘゲモニー(覇権)国家の没落、その座を巡る攻防、新たなヘゲモニー国家の確立という繰り返しが反復的に起きている」(……)

 1990年代以降に世界を席巻している新自由主義は、70年代以降に衰退したヘゲモニー国家のアメリカが自由主義を放棄して進められた帝国主義的なもので、歴史的段階とした。そして、次のヘゲモニー国家が確定するまでは激しい競争になるとし、「確実に戦争に向かうだろう。そしてそれが、(経済政策の)帝国主義を終わらせる」と断言(柄谷行人 岩波書店、100周年記念でシンポ

ほかにも中国がヘゲモニーを握るのは困難だ
インドの可能性があるとオッシャッテルらしい
中国ヘゲモニーの困難さの指摘はジジェクの見解も同様

中国はひとりっこ政策がたたって
もうすぐ高齢化社会で
人口もインドに抜かれるらしい

《インドは2028年までに、中国を抜いて世界一の人口大国になる可能性がある》(国連予測

でなんの話だったか
消費税だったな
オレのベースは次の見解だね
元財務次官、日銀副総裁の武藤敏郎氏が取り仕切っているのだが
東京オリンピック競技大会組織委員会の事務総長でもあるらしい
さっきのはPDFで140ページ以上あるからさ
経済に関心がないひとはちょっときついかもしれない
しかも、ここで消費税率25%とは、かなり控えめにみた税率である。①医療や介護の物価は一般物価よりも上昇率が高いこと、②医療の高度化によって医療需要は実質的に拡大するトレンドを持つこと、③介護サービスの供給不足を解消するために介護報酬の引上げが求められる可能性が高いこと、④高い消費税率になれば軽減税率が導入される可能性があること、⑤社会保険料の増嵩を少しでも避けるために財源を保険料から税にシフトさせる公算が大きいこと――などの諸点を考慮すると、消費税率は早い段階でゆうに30%を超えることになるだろう。

ーーなどという指摘があるので一読に値するのだけれど

もしメンドウ臭いなら
あるいは「中福祉・中負担は幻想」 武藤敏郎氏くらいでもいい
それとも別の研究所の「2040年の日本、衝撃のシミュレーション」でもいい
まあこのへんはちょっと探せばいくらでもあるのだからさ
「見たくないもの」を見ない〈心の習慣〉丸山真男)さえなければね
一応情報を提供しておくよ