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「人形愛の精神分析」より
男性にとっての指と女性にとっての指は少し意味合いが違うのですが、その元になっているのはやはりペニスです。ただフェティシズムの基本というのは、ペニ スの代わりのものを他のペニスの近辺の部位に求める、あるいはそれに類似の部位に求める。つまり代替物を求めていくのがフェティシズムの基本構造です。
一方女性が指を好き、例えば男性の血管の浮いた指を隙というような表現をしたときは、むしろダイレクトなかたちでのペニスナイトです。ペニスを求める願望です。
ペニスを求める願望というのは、そのままその延長上に
子供を求める願望につながっていくのですが、同じペニスであっても、ペニスの置換物なのかあるいはペニスそのものかによって違うようです。
特に女性が自分の手を見てうっとりしているというのは、本来付いていないペニスがそこについていることを発見するわけであって、ペニスを勝ち得た女性の心の中に沸き起こってくる特有の万能間というのか、充実感というのか、それが表現されてます。
その時にアナロジーから言うと、指のかたちと爪の場所を見てみると、まさにペニスと亀頭の部分に相当する。亀頭の部分は色が違う。ひょっとしたら赤く、ある場合によっては光沢を放っているかもしれないということを考えると、われわれは知らないうちに爪の
手入れをしているようでいて実は生殖器の手入れをしている、ということは十分ありうるわけです。
鼻は意識的にせよ無意識的にせよ、男性器の「隠喩」とか「換喩」とか、あるいは「象徴」として使われることが多い。
「鼻筋が通る」ということはどういうことかというと、これはとりもなおさず」長いペニスになる」、つまり「興奮した状態のペニスになる」ということです。
いずれにせよ「鼻」は、ひとつのフェティシズムの対象です。「フェティシズム」とは何かというと、本来性器に向かう欲望が、直接性器ではなく性器の代替物によって置き換わっている状態です。
その性器の代理物として用いられるのが「鼻」であり、その他、太腿、ふくらはぎ、足首、脚、靴、靴のかかとのヒールとか、そういうものがフェティシズムの対象として挙げられます。