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2014年11月3日月曜日

アベノミクスによる税収増と国債利払い増

まず「アベノミクス2年目の課題」(富士通総研 早川英男 2014.3.11)より。








元日銀理事である早川英男氏は、今年の5月2日にもこう語っている。

「物価だけに限って言えば、日銀の勝ちだ」と述べ、既に完全雇用であり、人手不足による賃金上昇が今後起きて、物価は来年度の終わりころには2%には近づいてくると予想した。同時に日銀は潜在成長率の低下という不都合な真実から目を背けているとも語った。(……) 
足元0.6%前後で低位安定している長期金利 について早川氏は「国債市場は物価がいつまで経っても2%に届かない、従って日銀がいつまでも国債を買ってくれるという前提で取引をしている」と語った。 
その上で今年度末は無理にしても物価は2%にだんだん近づいてくるとして「そうなると、日銀はいずれ国債を買ってくれなくなる。その日が近づいている。国債市場だけでなく、日銀も完全にモラルハザードに陥っていて、国債の暴落は起こらないと思っているが、それは起こる」と予測した。(国債暴落必至、日銀の「不都合な真実」潜在成長率低下で-早川氏  2014.5.7)


国債の暴落、急激なインフレが起こる予兆さえないのは「不可解な現象」であるという疑念が、『「財政破綻後の日本経済の姿」に関する研究会』においても主要な議題であるのを少し前みた。

日本の深刻な財政危機状態や2%の物価上昇率を目標に掲げる日銀の歴史的な積極的金融緩和策が続行されるなか、8月末時点の長期債の最終利回りは0.5%を下回っている。ある意味、不可解な現象である。われわれは過去2年間「現状の日本でなぜ国債価格の大幅下落、急激なインフレを伴う「財政破綻」は現実化しない、その予兆も見えないのはなぜか・・・?」という問題意識を抱き、研究会を続けてきた。そして過去数回の研究会では、日本の国債価格の形成メカニズム、とりわけ投資家の期待形成メカニズムや資産選択行動を解明する糸口を求めて関連するファイナンス研究について見てきた。(「日本の財政は破綻する」などと言っている悠長な状況ではない?

ーーやっぱり不思議だぜ。そろそろあるんじゃないか? で、どうしたらいいんだろって? タンス外貨預金に決まってるだろ。まともな経済学者や政治家、財務省やら日銀の首脳はもうとっくの昔に準備してるさ。銀行封鎖もあるしな、大事なのはタンス「外貨」預金だぜ、それに田舎に農地なんかあったら、ハイパーインフレでボロ儲けできるかもな、ーーなどと書くほど、経済のことに詳しくなく、一年に何度か訪れる「日本の財政」への散発的な関心からの臆断ではあるに過ぎないのは蛇足ながら断わっておかなくちゃな。

ジャン=ピエール・デュピュイは、《たとえ知識があろうとも、それだけでは誰にも行動を促すことはできない》と言う。なぜなら《私たちは自分の知識が導く当然の帰結を、自分で思い描けないから》と。

で、どうしたらいいのかと言えば、「地獄郷dystopia」、「未来の固定点」からの倒錯的遠近法であり、これがデュピュイの主張する「プロジェクトの時間」、あるいはフレドリック・ジェイムソンのいう「現在へのノスタルジア」的なパースペクティヴということになる。

で、現在に、《「これこれをしておいたら、いま陥っているーー未来の「今」陥ってるーー破局は起こらなかっただろうに!」)を挿入すること》が肝要らしいな。(参照

…………

税収増と利払い増のかねあいが、ここ数年来、経済専門家たちの議論の種になってきた。要するに、アベノミクス(リフレ政策)によって、税収増以上に国債の利払い増となってしまうのではないか、という懸念をもつ慎重派がリフレ政策を嫌った大きな理由だっただろう。

前投稿では、アベノミクスが仮に成功しても、かつまた消費税大幅増施策を打っても、社会保障費削減に手をつけなければ、なんともならない、という経済学者たちの見解をメモした。以下も、前投稿「日本の財政破綻シナリオ」と同じくメモに終始する。

財務省は、狭い自分の領域でしか物事を考えていません。たとえば、国債の名目金利が低ければ利払い費が少なくて済みます。利払い費が少なければ安心だと考えます。そして、利払い費を少なくするためには、デフレのほうがいいと考えるため、財務省はデフレを好む傾向があります。しかし、デフレが続いて、国債の名目金利が低いにもかかわらず、毎年財政が悪化していることを、財務省はどう説明するのでしょうか。(岩田規久男『リフレは正しい:アベノミクスで復活する日本経済』)
──異次元緩和後の金利動向をどうみているか。

「金利に対しては2つの違う働きの効果が働いている。国債を大量に買い入れたため、名目金利やリスクプレミアムは下がる。一方、予想インフレ率が上がることで名目金利が上昇する要素もある。金融政策の結果、予想インフレ率が上昇し、実質金利が下がっているかどうかが一番大事だ。そうでなければ株や為替、実体経済に対する影響が出てこない。(現在の実質金利は)BEIでみるとマイナスだ」(岩田日銀副総裁インタビューの一問一答 2103.6.24)

ここで、「アベノミクスと日本経済の形を決めるビジョン」から再掲してみよう。


◆インタビュー:利払い負担で資金繰り苦しく、財政不安定化も=池尾教授(2013.4.12)

「日銀が大量の国債を買い取ることで、これまで民間部門が保有していた国債が減るために、国債の需給が引き締まり、長期国債の利回りは低下する要因となるはず。一方で他の資産市場にシフトして国債市場から離脱する市場参加者の方が多ければ、かえって需給が緩み、結局利回りは下がらない。何らかのストレスが市場に発生することで、財政に伝播してしまうリスクや、金利上昇の際のリスクが大きくなったともいえる」と不安を示す。

ただし「何が起こるかは、民間金融機関の行動次第だ。買えるだけの国債は買った上で買えない部分だけ外債投資に移すのか、あるいは、国債市場から離脱して他の投資先を本格的に求めていくのかによって、生じる結果も変わる。確定的なことはわからない」として、今後の市場の動きを見極める必要性を指摘する。

さらに大きなリスクとみているのは、デフレから脱却して景気が回復すれば、金利が上昇し、利払い負担が膨らむこと。「これまでは、デフレのもとで財政が奇妙な安定を保ってきたが、デフレから脱却して金利が上昇すると、財政の安定が崩れるというリスクがある。その際、成長率上昇による税収増と利払い費の比較になる。税収に比べて利払いが大きくなっているので、成長率が1%上がった場合、金利も1%上がると、税収増より利払い増が大きくなり、資金繰りが苦しくなる」というものだ。

そのうえで、デフレ脱却を目指す以上、財政リスクへの備えが欠かせないと指摘。「これだけの公的債務を抱えている国の首相が、金利上昇方向の政策を推進し、大胆な緩和策をとる以上は、それに見合った財政のコンティンジェンシープランが必要だ」と強調する。

後半箇所の「大きなリスク」をめぐっては、池尾氏は、アベノミクス以前、リフレ談義が巷間で賑わったころより(あるいはそれ以前から)、再三同じようなことを主張し続けている(参照:「財政破綻」、「ハイパーインフレ」関連)。

ここでは野村総研の大崎貞和氏との対談(「経済再生 の鍵は 不確実性の解消 」 野村総合研究所 金融ITイノベーション研究部 ©2011 Nomura Research Institute, Ltd. )よりひとつだけ抜き出しておく。http://www.nri.co.jp/opinion/kinyu_itf/2011/pdf/itf_201111_2.pdf


デフレから脱却しなければいけないのだけれども、そのプロセスについてはかなり慎重に考えなければいけません。

インフレになれば債務者が得をして債権者が損をするという感覚があります。しかしそれは、例えば年収と住宅ローンのように、所得1に対して抱えている負債がせいぜい2、3ぐらいのときの話です。

日本の置かれている状況は、 一般会計の税収40兆円ぐらいに対し、 グロスで1,000兆円ぐらいの政府債務があるわけです。 そうすると、 1対25です。 景気がよくなって税収が増えたとしても、 利払いの増加のほうがその上をいく構造になっています。 ですから、 景気が好転するときが一番用心すべきときになります。

デフレ脱却を叫ぶのであれば、デフレを脱却しても困らない体制をつくる必要があります。所得税の累進構造をもう少し高めるのも一つですし、景気が回復に向かった際、ある種の増税措置を速やかに発動できる体制をつくるのも一つです。要するに、そこまで日本の財政問題は困難化しているわけです。

やはり政治にちゃんと機能してもらわないと絶対よくなりません。財務省や日本銀行に責任を丸投げしている場合ではありません。

国債利払い、21年度20兆円に倍増 財務省試算 (2012/1/30)

財務省は30日、2012年度予算案をもとに歳出と歳入の見通しを推計して公表した。消費税率を15年10月に10%に引き上げても国債残高は21年度末に1000兆円を超えるまで増え続け、21年度の国債の利払い費は20兆円へと倍増する見込みだ。先進国で日本の債務残高が突出している状態は変わらず、社会保障費の抑制など歳出削減が急務であることが改めてわかった。

 財務省が公表したのは「後年度影響試算」。消費税率を14年4月に8%に、15年10月に10%に引き上げることを盛り込んだ初めての試算になる。

 消費増税しても国債の残高が膨らむのは、全体の税収が増えても、社会保障の拡充やそれまでに発行した国債の元利払いが税収増より大きいためだ。このため新規国債の発行額も減らない。過去に発行した国債の利払いのために新たな国債を発行する悪循環を断ち切れない構図だ。

残高1000兆円超

 試算によると、国債残高(復興債を除く)は12年度末の696兆円から21年度末には311兆円増の1007兆円に達する見通し。利払い費も12年度の10兆円から21年度には20.7兆円にまで増える。経済成長率は1%台半ば、長期金利(新発10年物国債利回り)は現在より高い2%程度と仮定している。

 消費税率を5%上げるのに伴って税収は15年度には12年度よりも約10.5兆円増える。これにより税外収入なども含めた収入は15年度に56兆円に増える。

 ところが社会保障費や地方交付税など政策的な経費は12年度の68.4兆円から15年度には73.9兆円まで増える。国債も毎年40兆円以上の新規発行で残高が積み上がるため、利払い費に国債の償還費などを足した国債費は12年度の21.9兆円から、15年度には27.5兆円に増えることになる。

 税収で政策的経費が賄えるかを示す基礎的財政収支は、12年度の22.3兆円の赤字が15年度に18.2兆円の赤字に縮小する。だが国債残高が増え続けるため、財政再建が急進展するとはいえない。


◆「日本の財政赤字の維持可能性」(深尾光洋 RIETI Discussion Paper Series 2012 年 6 )より。
消費税を 25%まで引き上げても、金利が少し上昇すれば、政府債務は増加を続けてしまう。例えば政府の平均借入金利が 2016 年の 1.5%から 21 年に 2.5%まで毎年 0.2 ポイント上昇を続けるケースを見たのが図表16である。この場合には、プライマリーバランスの3.4%の黒字では、利払い負担の GDP 比 4.6%をカバーしきれず、負債 GPP 比率は上昇を続ける。このように、政府債務が巨額になると、小幅の金利上昇でも政府債務は安定化できなくなってしまう。





…………

以下、うっかりすると間違えてしまう考え方への指摘(池尾和人氏から高橋洋一氏への質問)を附記しておく。元財務官僚の高橋洋一氏でさえこうなのだから、ネットなどでもっともらしく語られる話はさらにヒドイ、--嘲笑する気にもならない(オレの最近の記事も含めてな、と書いておかなくちゃな)。



経済成長は、大切である。しかし、実質的な成長でなければ意味が乏しく、インフレの高進で名目的に成長率が高まっただけだと、日本経済の抱える問題の解決に資することにはならず、逆に問題を悪化させる恐れすらある。例えば、インフレ率の上昇を反映して名目成長率と名目利子率が同率で上昇したとすると、日本の財政収支はむしろ悪化する可能性がある。それは、これだけ膨大な公的債務残高を抱えている状況下では、税収の増加を利払い費の増加が上回ると考えられるからである。


こうした点は、私自身も以前に述べたことがある(「デフレ脱却は信頼できる確約か」)が、高橋洋一氏は、こうした主張をする者に「財政破綻論者」というレッテルを貼った上で、そうした主張がインチキであるかのように論じている。しかし、私には高橋氏の主張の方にむしろ論理的な陥穽があるように思われる。こういうときには、本人にまず聞いてみた方がよいと思うので、次のような私信を送ってみた。


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高橋 洋一 様

前略

ご無沙汰しています。ちょっと質問です。

ダイヤモンド・オンラインの記事の中で、

 この数字にはトリックがある。国債残高は600兆円として、もしすべて1年債であったなら、金利が1%とすると次の年に6兆円増加して、その後は増えない。実際には1年より長期の国債もあるので、徐々に上がり数年経って6兆円まで上がるが、その後は増えない。

 ところが、名目成長が1%アップすると、時間が経過すればするほど税収は大きくなる。数年経つと6兆円以上増える。財務省の資料は、3年までしか計算せずに利払費が税収より大きいところだけしか見せないのだ。

と書かれています。

同じ趣旨のことは、『経済セミナー』20101011月号での宮崎哲弥氏との対談の中でも述べられていて、それを読んだときに疑問に思ったのですが、再び繰り返されているので、質問します。

上記の議論では、国債残高は600兆円のままで一定で、ずっと変わらないことになっていて、GDP(それゆえ税収)だけが成長することになっていると読めます。それだと、国債残高の対GDP比率は時間の経過とともに低下していくことになります。換言すると、上の主張は、現時点で財政収支の均衡を達成できていれば、という仮定がないと成立しないものではないですか?

しかし、日本の現状は、ご承知の通り、国債残高の対GDP比率はいまなお増加の一途にあります。かりに国債残高の対GDP比率を一定にもっていけたとしても、翌年以降の国債残高は増え、時間が経過すればするほど利払い費も大きくなっていくはずです。それゆえ、税収だけではなく、利払い費の方もやはり複利で考えなければならないと思いますが、いかがでしょう?

私が何か勘違いしていますか?

草々

池尾 和人(慶應義塾大学経済学部)

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(……)

なお、もちろん「公債残高が増えないとすれば、いずれ税収増が利払い増を上回る」、あるいは「当初時点で存在していた公債残高分に限れば、いずれ税収増がその分に関する利払い増を上回る」という主張は、論理的には間違っていない。しかし同時に、現実的な関連性に乏しい無意味な話に過ぎない。

実際には、公債残高は増え続けると見込まれるのであるから、問われるべきは、その時点で存在している公債残高に関する利払い費の推移と税収増の関係である。しかし、これをかなり先の時点についてまで計算しようとすると、名目成長率と名目利子率が同率で上昇したときに基礎的財政収支にどのような影響があるか等について想定を置く必要があり、その想定次第で結果は幅をもったものとなる。



高橋洋一氏からの返信

高橋洋一氏から返信をもらった。以下、主要部分を引用する。

なお、引用に際しては、再返信で「いただいた返信の内容をブログ記事の中で引用(公開)して、構わないでしょうか? もし支障があるようでしたら、お手数ですが、早めにお知らせ下さい。」と断りを入れておいたが、別にプライベイトなことを話しているわけではないので、問題はないはずだと考える。
ご質問の件ですが、
成長率が上がると、プライマリー収支が改善することを前提にしています。
すると、高い成長率の場合、債務残高対GDP比を減少させることも可能です。(金利>成長率でも、成長率を高くしてプライマリー収支黒字にすればそうなります)
その場合、文章は少し修正して、同じ論法が適用できると考えています。
少し単純化しすぎた文章だと思いました。

これには、私が勘違いしているという指摘はないし、「少し修正して」、「少し単純化しすぎた文章だと思いました」という形でミスリーディングである点が認められている。それゆえ、今回の件はこれで良いと思う(もっとも、乏しい根拠だけでトリックだ、マジックだと決めつけられた財務省はたまったものではないだろうが...)。

ただし、読者一般の参考のために、若干の補足的な指摘をしておきたい。

先に取り上げたダイヤモンド・オンラインの記事では、1%の名目成長率と名目利子率の同時上昇が想定されていた。前の『経済セミナー』の記事でも、2%である。1~2%くらい成長率が高まったくらいで、現在足下では対GDP比で6%もの赤字になっている基礎的財政(プライマリー)収支が黒字化すると考える者はさすがにいないと思う。

簡単な計算から、
t1

であることが確認できる。したがって、公的債務残高の対GDP比の上昇が止まるための条件は、


になる。目の子算でいうと、現状、利子率と成長率の差は1%程度あり、公債残高の対GDP比は2倍に達しているので、基礎的財政収支が対GDP比で2%の黒字になることが必要な条件になる。

いくらなんでも、1~2%程度の名目成長率の上昇で、-6%から+2%へ計8%の基礎的財政収支の改善が起こるということはあり得ない(名目成長率と名目利子率が同率で上昇するケースを考えているので、利子率と成長率の差は変わらない)。そうしたことが起これば、それこそがマジックである。

しかも、公的債務残高の対GDP比が一定では、税収だけが複利計算で増え、利払い費は一定ということにはならない。ともに複利で増えることになる。論法を成り立たせるために想定されていたのは、公的債務残高の絶対的な値そのものが変わらない(増えない)ということである。そのための条件は、さらにきつい




2014年11月2日日曜日

日本の財政破綻シナリオ

以下、日本の財政のことがよく分かっていないもののメモである。



…………

■消費増税では日本の財政は救えない(小黒一正氏(法政大学経済学部准教授) マル激トーク・オン・ディマンド 第677

そもそも何のための増税なのだろうか。

 4月1日から消費税率が8%に引き上げられた。僅か3%ポイントというが、6割の増税である。

 今回の増税の大義名分は「日本の社会保障を守るための安定的な財源確保」とされ、社会保障の膨張で危機的な状況にある日本の財政を再建するためには、どうしても消費増税が不可欠であると説明されている。われわれの年金や医療保険を守るためにはやむを得ないと考え、厳しい経済状況の下で増税の苦難を甘受している人も多いにちがいない。

 しかし、法政大学准教授で財政問題に詳しいゲストの小黒一正氏は、今回の消費増税では財政再建は達成できないし、社会保障も守れないと断言する。

 仮に日本がアベノミクスでデフレから脱却し成長軌道に乗ることができたとしても、現在の日本の財政構造は社会保障関連の義務的経費が、増税による税収の増額分を上回るペースで増えているため、今回程度の増税では到底財政再建など夢のまた夢だというのだ。

 小黒氏によると消費税を1%上げるごとに2.7兆円程度の増収が見込まれる。しかし、少子高齢化が進む中、社会保障関連費は毎年3兆円ペースで増え続けている消費税1%の増収分はわずか1年で相殺されてしまう計算になる。今回は3%の増税だから、3年ほどで食いつぶす計算になるが、これでは社会保障関連費を賄うだけのために、3年後から毎年1%ずつ消費税を上げないと追いつかないことになる。しかも1%の増税では、辛うじて社会保障関係費の増加分を補うだけで、予算全体の不足分を解消して、貯まっている借金の元本を減らすなどとても無理な状況だ。

 現在でも日本の一般会計予算が、50兆円規模の赤字で辛うじて運営されていることを考えると、仮に日本のGDP総額約500兆円が年2%ずつ成長して税収が増えたとしても、公債依存度50%、累積債務残高1,000兆円以上という惨憺たる財政の現状は全く変わらないことになる。アベノミクスでデフレから脱却し経済が成長軌道に乗れば、日本にも明るい未来への道筋が開けてくるかのような話が流布されているが、それは全くの誤解であり、安倍首相がどんなに力説しようが、また日本経済がどんなに成長軌道に乗ろうが、今後消費税は上げつつけなければならないというのが実情だと、小黒氏は言う。

 それでは、日本が財政破綻を避けるためには、一体どこまで消費税を上げないといけないのか。小黒氏は、現在の財政構造では、毎年の歳入と歳出を同じ規模にして赤字を無くすという最低限の現状維持だけでも、「25%から30%の消費税が必要になるだろう」と試算する。しかもこれだけ消費税を上げても累積債務1,000兆円のうち、その利払いをかろうじてカバーするだけで、元本は丸々残ったままなのだ。

 財政を再建するには、税収を増やして歳出を抑える以外に有効な手立てはない。しかも、ここまで財政状況が悪化したら、5年、10年ではなく、20年、50年の時間をかけて改善していくほかない。数パーセントの消費税率の引き上げや成長戦略だけでは全く焼け石に水だ。まずは年金や医療を含む社会保障制度を抜本的に見直すなどして、歳出を大幅に削減することが急務だが、今の政府にそれを実行する意欲も能力も、そしてその気概も、とても期待できそうにない。また、そもそも国民にその痛みを受け入れられる用意があるとも到底思えない。

ここで語られているのはまず、単年度「50兆円規模の財政赤字」を消費税だけ赤字をチャラにするためには、「25%から30%の消費税が必要になる」ということであり、これは単純計算してもそうなる。

小黒氏によれば「消費税を1%上げるごとに2.7兆円程度の増収が見込まれる」とあるが、計算しやすいように、消費税1%が2.5兆円だとしよう。とすれば50兆円の赤字は、20%の消費税に相当する。すなわち現在の消費税率に20%上乗せして「25%から30%の消費税が必要になる」ということだ。

ただし「社会保障関連費は毎年3兆円ペースで増え続けている」のであるなら、もしこの費用の見直し(削減)がなければ、これ以外に毎年1%強の消費税増が必要ということになる。

そしてもうひとつ、単年度の財政赤字をチャラにしても「累積債務残高1,000兆円以上」は残ったまま」とある。この金利支払額が9兆円程度なのだが、これがたとえば倍増したらどうなるのか。すなわち9兆円相当の消費税4%弱をさらに上げなければならない。とすれば、社会保障関連費によるアップもふくめ、消費税40%達成なり、--というのは計算上は冗談ではない(経済成長による税収増は考慮外ではある)。

元財務次官、元日銀副総裁、現東京オリンピック競技大会組織委員会の事務総長でもある武藤敏郎氏が取り仕切った大和総研のDIR30年プロジェクト「超高齢日本の30年展望」2013のシミュレーションにはこうある。

……ここで消費税率25%とは、かなり控えめにみた税率である。①医療や介護の物価は一般物価よりも上昇率が高いこと、②医療の高度化によって医療需要は実質的に拡大するトレンドを持つこと、③介護サービスの供給不足を解消するために介護報酬の引上げが求められる可能性が高いこと、④高い消費税率になれば軽減税率が導入される可能性があること、⑤社会保険料の増嵩を少しでも避けるために財源を保険料から税にシフトさせる公算が大きいこと――などの諸点を考慮すると、消費税率は早い段階でゆうに30%を超えることになるだろう。

もっともアベノミクスでインフレになっても、実は国債の金利水準がすぐさま連動して変わっていくわけではない。これについては、吉野充巨という方が説明される記事を参照しておくことにしよう。

明日、国債金利が上昇しても、1,000兆円全体に高い金利が適用されるのではありません。新規発行分と借り換え分のみです。現在発行されている国債のトータルの償還年限は8年です。従って理論的には、利払いが元々の国債が残る為、全体にかかる金利は徐々に上がってまいります。

ところで、小黒一正氏はこんなことも語っているようだ。

アベノミクスが失敗したほうが日本にとって被害は少ない(2013年6月11日)

日銀の黒田総裁が国債の大量購入を公式発表した翌日の4月5日から、利益を追求する海外の投資家たちは売りに転じた。結果、長期国債の金利は高騰。それは国と地方自治体が抱える借金の利払い費がふくれ上がることを意味し、日本は財政破綻へと突き進むという声も出始めている。

しかし、同時に経済成長を達成できれば、長期金利が上昇しても税収が増える分、それほど財政の負担になることはないのではないだろうか。元財務省のキャリア官僚で、現在は法政大学経済学部准教授の小黒(おぐろ)一正氏が解説する。

「昨年の国の税収入は約35兆円です。バブルの絶頂期でさえ、約60兆円ほどでした。それに対し、国と地方が抱える借金の合計額は1000兆円以上です(国の公債残高に地方自治体の借金額を加えると、1000兆円を軽く超える)。物価と金利は基本的に連動するので、アベノミクスが目指す2%のインフレ率に合わせて金利も2%になると、単純計算で日本の利払い費は数年で20兆円にもなる。ここに国債の償還費も10兆円以上加わります」

もし経済成長が頓挫すれば、日本は借金の利払い費と国債の償還費だけで、30兆円以上もの歳出が必要となる。しかも、必要なお金はこれだけではない。

「さらに、社会保障費の公費負担額は約40兆円で、これは毎年約1兆円ずつ増加していく。つまり借金の返済費と社会保障費だけで70兆円を超え、バブル期の税収入を大きく上回ってしまうのです。このギャップを経済成長で埋めて財政赤字を解消できる可能性は、極めて低いと言わざるを得ません」(小黒准教授)

長期国債金利は国の信用度が大きく影響する。このまま財政赤字が悪化すれば、長期国債金利が暴騰するリスクが高まるのだ。借金を1000兆円とすると、金利がたった0.1%上昇しただけで利払い費が1兆円も増えるのだ。もし金利が3%を超えたら……、想像しただけで背筋が凍る。

結局のところ、アベノミクスが成功すると、財政赤字が埋まらない程度の微妙な経済成長を得る代わりに、財政にトドメを刺すような金利上昇がついてくるのだ。逆に失敗すると、経済成長も物価上昇も起こらないが、金利も上がらないで済む。差し引きすると、アベノミクスが失敗したほうが日本にとって被害が少ないという計算が成り立つのだ。

どちらにせよ、アベノミクスはもう始まってしまった。今はまだ入り口付近にいるが、金融緩和は出口こそが難しいのだと前出の小黒准教授は警告する。

「金融緩和の際に日銀は大量の国債を買いますが、引き締めのときは国債を売るわけではありません。大量の国債を売れば国債の価格が下落し、金利が上昇してしまうからです。急に国債の購入をストップする場合も、国債の需給が急変し、長期金利は上昇してしまうので、ソフトランディングさせるためには出口のプロセスになっても国債の購入量を徐々に減らしながら買い続けなければならないのです」

黒田日銀と安倍政権にそんな繊細なコントロールが可能なのか。日本経済の先行きに不安は尽きない。

これは日銀首脳もかねてより怖れていることで、「アベノミクスの博打」(浅田彰)といわれる所以でもある。《黒田東彦総裁はことあるごとに、日銀の長期国債買い入れが長期金利に強い下方圧力を加えていると述べている。》(日銀は長期金利急騰を懸念  2014.4.25 ブルームバーグ)

──異次元緩和後の金利動向をどうみているか。

「金利に対しては2つの違う働きの効果が働いている。国債を大量に買い入れたため、名目金利やリスクプレミアムは下がる。一方、予想インフレ率が上がることで名目金利が上昇する要素もある。金融政策の結果、予想インフレ率が上昇し、実質金利が下がっているかどうかが一番大事だ。そうでなければ株や為替、実体経済に対する影響が出てこない。(現在の実質金利は)BEIでみるとマイナスだ」(岩田日銀副総裁インタビューの一問一答 2013年 06月 24日)

さて小黒氏の上掲の文に戻れば、《社会保障費の公費負担額は約40兆円で、これは毎年約1兆円ずつ増加していく》とあり、冒頭に掲げた記事には、《社会保障関連費は毎年3兆円ペースで増え続けている》とある。このあたりはわたくしはよく分っていないのだが(いまは敢えてさらに調べてみることはしない)、一般会計と特別会計の絡みもあるのだろうか。今は下記の文を貼付しておくだけにする。



―― 8兆円程度、消費税で収入が増えるといっても、その何十倍もの借金があったんですね……。

家計だったら、少しくらい給料が上がっても、借金が減らないのであれば家計を切り詰めようと思いますが、報道では「今年の予算は95兆円超で過去最大」などと出てますね。 どうしてここまで膨らんでしまったんですか?

小黒 一言でいうならば、急速な高齢化で、社会保障(年金・医療・介護)の予算が急増しているからですが、それはまだ序の口です。

というのは、2025年には団塊の世代のすべてが75歳以上になるからです。その結果、2000年時には900万人に過ぎなかった後期高齢者(75歳以上)が2025年には2000万人に達し、医療・介護ニーズが急増します。医療・介護のコストは前期高齢者(60~74歳)よりも後期高齢者の方がずっと高いですから。

その点で、これまでは、ずっと一般会計の話をしていますけど、じつは国の予算は95兆円じゃないんですよ。

―― えっ!?

小黒国の予算には、「一般会計予算」だけでなく、「特別会計予算」があります。特別会計では、年金特別会計や労働保険特別会計などが有名ですね。さらに、国の予算ではありませんが「政府関係機関予算」といって、日本政策金融公庫など資本金が全額政府出資で設立された4つの法人(注1)の関連予算は、国会の議決が必要です。 今年度予算でいうと、95兆円というのは「一般会計予算」の額で、「特別会計予算」は約400兆円、政府関連予算は約2兆円です。

―― え! じゃあ足して500兆円くらいですか?

小黒 それがそうじゃないんです。 3種類の予算は互いに独立しているわけではなくて、相互に様々な財源の繰り入れが行われているんです。したがって、3種類の予算を単純に合計したものが国の予算規模というわけではないんですよ。実質的な国の予算規模は、ここ数年でいうとだいたい220~240兆円くらいです。

■「どうして歳出減らせないの?






小黒 Bの「社会保障関係費」というのは、年金・医療・介護・生活保護などの費用です。上の図表は、国の予算のみですが、地方公共団体の予算も含めると、社会保障費は約110兆円に達しています。

これを「社会保障給付費」といい、内訳は年金が約50兆円、医療が約35兆円、介護が約9兆円です。年金や医療・介護は高齢者の数が増えると増加する予算であり、社会保障給付費は減らせないどころか、ここ10年間、年平均で2.6兆円のペースで増え続けています。


■文教費、国防費、公共事業費を全部削ってもまだ借金返せない!

―― あと「その他」のなかにさらに「その他の事項経費」7.3兆円とありますが、このあたりは、中身がわからないのでちょっとモヤモヤしていますね。今年の秋にはさらに2%消費税を上げる決定が行われるともっぱらのウワサですよね。こまごま節約を積み上げたら1兆円、2兆円くらいなら減らせないのかと、庶民としてはどうしても思ってしまいます。

小黒 そうですね。その視点は重要で、公務員人件費、議員の歳費の効率化に限らず、行政一般の効率化、すなわちムダの削減に終わりはなく、不断の見なおしを続けていかなければならないでしょう。実際、政府は、最近の「行政事業レビュー」という事業の見直し・効率化の取り組みをはじめ、ムダの削減を常に行っています。

しかし、多くの人がイメージするほど日本の政府支出は水ぶくれしているわけではなく、社会保障以外の政策的歳出については、すでにかなりスリム化してきているのが現状です。

 「ムダが多い」と言うのは簡単ですが、ムダと呼ばれているものが、じつは自分が日々使っている道路であったり、自分の子どもが通っている学校の先生の給料であるかもしれませんないのです。
なかには、だれの目にもムダな事業もあるでしょうが、そうした事業は金額的にはそう多くないのです。

―― たしかに、全体の割合としてはそれほど多くないというのは、逐一見ていかないとわからなかったですね。とにかく国債と社会保障が大きすぎるというのはよくわかりました。

小黒 前政権の民主党も、ムダの削減などにより16.8兆円を捻出するとマニフェストでうたいましたが、実際、ただちに壁につきあたり、鳴り物入りの事業仕分けでさえ、捻出できたのは数千億円にとどまっています。

 「節約してよ!」という気持ちはたいへんよくわかるのですが、仮に「その他」の30.9兆円の「その他」を全て削減しても、40兆円近い借金を無くすことはできません。

―― じゃあ、どうしたらいいんですか???

小黒 兆円単位で歳出を削減するためには、社会保障費に手をつけるしかないのが現状です。


アベノミクスの経済成長が日本の財政問題にトドメを刺す

 アベノミクスで円も株価も劇的に回復した’13年。しかし、この経済成長は一時的な財政拡大頼みの側面が強い一方、デフレ脱却後の金利上昇が日本の財政を窮地に追い込む可能性があると指摘するのは経済学者の小黒一正氏。

「消費税増税で景気が停滞すると危惧する人もいますが、その主張は税収増による将来不安の解消などのプラスの面を無視した話なので、一時的なショックを除き、消費増税で景気停滞が起きるとは思いません。それ以上に問題なのは、あの程度の消費増税では、アベノミクスでデフレ脱却が成功した場合、金利が上昇することによって起きる“利払費”の増加にとても対応できないことです

グラフを見ると、平成元年度から、公債残高は急速に右肩上がりになっている一方で、利払費は10.6兆円から7兆円にまで下がっている。通常、債務が膨らめば当然利払いも増加するものだ。それなのに下がっているのはひとえに金利低下の効果が債務の増大を上回っていたからなのだ。






平成17年度からは利払費が緩やかに上昇している。金利の低下分では吸収しきれなくなったのだ。今後金利が上昇した場合、利払費が大幅に増加し債務残高とともに財政を圧迫することは必至だ(財務省作成資料)

「金利は平成17年度からほぼ横這い状態にあります。にもかかわらず、利払費は平成18年度を最後に上昇に転じ、平成25年度には一気に上昇し、10兆円に迫る勢いになっています。これはもはや“低金利”のボーナスタイムが終わったということ。さらにデフレ脱却が成功し、金利が上昇し始めると、低金利の恩恵を受けられなくなった利払費が急速に膨張していくことになります


…………

以上、財務省出身である比較的若手の経済学者小黒一正氏の見解を中心にまとめたが、日銀出身の経済学者深尾光洋氏(慶應義塾大学商学部教授、元日本経済研究センター理事長)のアベノミクス導入前の論文からもいくらか抜粋しておこう。この論文は、三十年以上「経済学」から離れていたわたくしのようなものには、とても勉強になる。



本稿では、 日本経済をマクロ的な観点からとらえ、 日本の長期的な潜在成長率の低下、 長期化するデフレの実態、 政府債務と利払い負担などの現状を概観する。そのうえで、政府債務の GDP 比率を安定化させて、財政に対する信頼性を取り戻すためには、 少なくとも消費税で 20%程度に相当する 50 兆円程度の歳出削減ないし増税が必要であることを示す。 また今後利払い負担が急増する見通しであることを指摘し、 政府債務が巨額になってしまった現在では、 デフレからの脱却は政府の利払い負担を急増させることで政府信用を悪化させかねないことも説明する
毎年の財政赤字も 2011 年には 48 兆円程度と GDP 比 10%に達したと推定され、きわめて高水準にある。仮に消費税を 10 ポイント引き上げて 15%にしたとしても、税収増は 24 兆円程度であり赤字を半分に減らすのが精一杯である。

ーーここに、消費税10 ポイント引き上げは、24 兆円程度とあるように、小倉氏の見解とほぼ同じである。そして2012年におけるシミュレーションの前提として、《消費税引き上げによる税収増加額は、 税率の2%引き上げで GDP 比1%に相当すると想定した》とされている。




政府債務 GDP 比率の上昇が止まり低下を始めるためには、 遥かに大幅なプライマリーバランスの改善が必要である。 一例として図表15は消費税を 2014 年から 2023 年までの 10年間、 毎年 1 月に 2 ポイントずつ引き上げ、 23 年の 1 月以降 25%にするケースを示してある。 このケースであれば、 政府の純債務 GDP 比率は消費税率が 19%に達する 2020 年にピークの 180%に達した後、 徐々に低下を始める。 プライマリーバランスは、 2024 年以降 3.4%の黒字となるが、この時点でも利払い負担が GDP 比 2.6%あるため利払い負担を調整した黒字幅は小さく、 政府債務 GDP 比率は非常にゆっくりとしか低下しない。 実際に財政赤字を削減するためには、 消費税だけの増税を行う必要は無く、 所得税、 法人税、 社会保険料、税外収入、 固定資産税など、 どんな税目で増税を行ってもよいし歳出削減を行っても良い。
消費税を 25%まで引き上げても、金利が少し上昇すれば、政府債務は増加を続けてしまう。例えば政府の平均借入金利が 2016 年の 1.5%から 21 年に 2.5%まで毎年 0.2 ポイント上昇を続けるケースを見たのが図表16である。この場合には、プライマリーバランスの3.4%の黒字では、利払い負担の GDP 比 4.6%をカバーしきれず、負債 GPP 比率は上昇を続ける。このように、政府債務が巨額になると、小幅の金利上昇でも政府債務は安定化できなくなってしまう。



※参照

《……プライマリーバランスの概念を導入するために、ここで経常収入を「金利収入」と「金利以外の経常収入」、経常・投資支出を「金利支出」と「金利以外の経常・投資支出」に分割して上の式を書き直すと、以下のようになる。

「金利以外の経常収入」+「金利収入」+「国債発行」
=「金利以外の経常・投資支出」+「金利支出」+「国債償還」 (1-3)

プライマリーバランスは、「金利以外の経常収入」から「金利以外の経常・投資支出」を差し引いた金額であるから、上の式を整理すると次の式が得られる。

「プライマリーバランス」+(「金利収入」-「金利支出」)
=「国債償還」-「国債発行」 (1-4)

簡単に言えば、

「プライマリーバランス」+「純金利受取」=「国債のネット償還額」 (1-5)

現在の日本では、プライマリーバランスは赤字で、金利は支払い超過、国債は発行超過であるから、次の式の方が直感的に分かりやすいだろう。

「プライマリーバランス赤字」+「純金利支払」=「国債のネット発行超過額」 (1-6)》
6. 日本の財政破綻シナリオ

4節の日本の財政バランスのシミュレーションを読み進まれてきた読者には、日本の財政破綻のシナリオがイメージできるだろう。概略、次のようなシナリオである。

(1)選挙民を恐れる政治家が増税を先延ばし続けて政府の累積赤字が拡大する。この結果、金利上昇による利払い負担増加のリスクが蓄積されていく。

(2) 日本の金融資産の大部分を保有する 50 歳以上の高齢者層も、 政府に対する信頼を徐々になくし、円から不動産、株式、外貨、金等に資金を移動し始める。

(3)長期国債価格が下落し、長期金利が上昇を始める。

(4)新規発行や借り換え国債の利払い負担増加に直面した政府が、発行国債の満期構成を短縮し、主に短期国債で赤字をファイナンスするようになる。日銀がゼロ金利政策を続けている間は、 政府の利払い負担は増加せず、 財政破綻を先延ばしできる。 しかし同時に、国債の満期構成の短期化は、将来の短期金利の上昇で、政府の利払いが急増するリスクを増大させる。

(5)政府の財政悪化に伴い、上記(2)の資金シフトが加速する。特に高齢化に伴う貯蓄率の低下や財政赤字の拡大によって経常収支が赤字化すると、大幅な円安になるリスクが高まる。実際に円安、株高が発生すれば、景気にはプラスとなりバブル的な景気回復を達成する可能性もある。そうなればインフレ率も上昇し始める。景気回復は税収を増大させ、財政赤字を減少させる。この時点で大幅な増税と赤字の削減が出来れば、財政破綻は避けられる可能性がある。

=>この場合、政府はタイミングの良い増税で健全化を達成できる。

しかし政府が増税に躊躇すると、以下のシナリオに突入する。

(6)日銀はインフレ率の上昇に対して金利引き上げによる金融引き締めを行うが、これで政府の利払いが爆発的に増大し、政府の信用が急激に低下する。

(7)政府が日銀の金融政策に介入して、低金利を強制したり、国債の買い取りを強制したりすれば、インフレがさらに加速し、国債価格は暴落する。

(8)金利の急激な上昇で長期国債を大量に保有する銀行が、巨額の損失を被り、政府に資金援助を要請する。

(9)政府が日銀に国債の低利引き受けを強制する場合には、政府は利払い増加による政府債務の急増を避けることが出来る。この場合は、敗戦直後のインフレ期と同様に、政府債務を大幅に引き下げることが可能で、政府は財政バランスの回復に成功する。しかし、所得分配の上では、預金や国債、生命保険、個人年金などの金融資産を保有する人々が、その実質価値の喪失で巨額の損失を被る。

=>この場合、政府はインフレタックスにより財政を健全化できる。しかし金融資産の実質価値の大幅低下により、生活資金に困る多数の人々を生み出す。

2014年11月1日土曜日

高齢化社会対策の劇薬

以下、メモ。このような少子高齢化推測の資料は、興味のある人にとっては周知のことなのだろうが、日本の新聞雑誌等を手にとることがないわたくしには目新しいのでここに貼付。

2050年と言えば、いま30歳の人が65歳になる頃である。ちょうど今の彼らの両親の年齢になる頃といってよいかもしれない。





このデータはおそらく移民による生産年齢人口増を考慮していないはず。以下に図表の説明がある(共同通信)。


総務省が公表した2013年10月1日時点の人口推計で、働き手の中核となる15~64歳の「生産年齢人口」が32年ぶりに8千万人を下回りました。

 Q 人口推計とは。
 A 全世帯に調査票を渡して人口などを調べる国勢調査は5年に1度だけです。国勢査のない年に、出生児数と死亡者数の差や、出入国者数の変動などから算出するのが人口推計です。

 Q 生産年齢人口が減ったのはなぜですか。
 A 少子化の流れが止まらない上に、1947~49年ごろの第1次ベビーブームに生また「団塊の世代」が65歳に達し高齢化が急速に進んでいるためです。この傾向は今後も続く見通しです。

 Q 生産年齢人口が減るとどうなりますか。
 A 働き手不足が深刻化して日本経済の成長力が低下する懸念があります。国民の豊かさが損なわれるだけでなく、税収が減って公共サービスや社会インフラの整備が滞る可能性もあります。

 Q ほかの影響は。
 A 高齢者が増えて生産年齢人口が減れば、若い世代の社会保障費の負担が重くなります。働く世代を20~64歳、高齢者を65歳以上とした財務省の試算では、12年は働く世代2・4人で高齢者1人の社会保障費を支えていましたが、50年には1・2人で支える時代になる見通しです。

 Q 現行制度を今後も維持できるのですか。
 A 年金支給開始年齢は現在、自営業者らが加入する国民年金の場合は65歳です。会社員の厚生年金は段階的に引き上げている途中で、男性は25年度、女性は30年度から65歳支給となります。この支給開始をさらに遅らせるなどの抑制策が必要との指摘もあります。

 Q 働き手を増やす方策はありますか。
 A 女性やシニア世代の活用が重要です。子育てをしながら女性が働き続けられるよう、学童保育や育児サービスの充実を図るべきでしょう。企業の定年延長も有効な手段となります。

 Q 建設業や介護分野での人手不足は深刻です。
 A 政府は外国人の活用を拡大する方針です。東京五輪が開催される20年までの時限措置として、新興国への技術移転を目的に労働者を受け入れる外国人技能実習制度の期間延長を決めました。安倍晋三首相は、家事支援や介護分野で外国人労働者を受け入れる制度の検討も指示しています。


 Q 移民は受け入れないのですか。
 A 治安悪化や日本人の雇用が長期的に奪われることへの懸念が根強く、政府は慎重姿勢です。ただ経済界などからは、本格的な受け入れが必要との指摘も出ています。

※より詳しくは、国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口」(2013)がすばらしい。


社会保障給付費の構成は次の通り(厚生労働省)。





高齢化比率に対して、少子化対策で対応できる時期はもうすでに終わったらしい。


河合 対照的に日本は結婚をしないと産まない国といわれていますが,そもそも未婚者がパートナーを見つけにくくなっています。婚外子の多い国はカップルが成立しやすいようですか,なぜなのでしょう。

阿藤 本当に最近の日本はセックスレスどころか「パートナーレス」ですね。もしかしたら,そこが一番のポイントかもしれませんが,一番わからないところでもありますね。ただ,緩少子化国には核家族の文化をもっているという共通点があります。古くから純粋な核家族の文化があったのが,ちょうど北欧,フランスあたりまで,ドイツや南欧は子どもが結婚しても親と住むタイプの家族(拡大家族)の伝統がありますし,中国文化圏の日本,韓国,台湾なども拡大家族の伝統をもちます。

 日本も含めて核家族文化ではない国では親と子のつながりが強く,親の権威が強い。核家族の国ではすべての子どもは未婚の時代に親から離れるので,外に出て自立してパートナーを見つけ,うまく生きていけるように育てるのが親の務めです。そういうわけで同棲・婚外子が拡がっています。しかし親子の関係が強い社会では親は子どもをひきとめ,子どもはそれに甘えてしまう。パラサイトシングルも,そのような文化を抜きにして考えられないですよ。北欧では成人した子が親とずっと一緒に住むなんて,双方生理的に耐えられないでしょう。
……また,選挙で強いのは高齢者福祉で子どもではないのです。そちらのほうにどうしても関心が行ってしまい,そうこうするうちに出生率を取り戻すタイミングを逸してしまったという感じですね。

河合 取り戻すタイミングとは団塊ジュニア世代が出産できた時代のことですね。

阿藤 そうです。第二次ベビーブームで生まれた世代が出産年齢にあるうちに何とかできれば,日本にもチャンスはあるはずでした。その世代が出産できる年齢を過ぎ,本当はあるべき第三次ベビーブームがないことがはっきりした今,日本は,たとえこれから少々出生率が上がっても大勢は変わりません。今後は出産年齢にある人口が減る一方ですから,私たちはこれを少子化スパイラルと呼んできましたが,長期にわたって人口減が続くことはすでに避けられないのです。

働く世代1.2.人で、高齢者1人を支えなくてはならないなどということはどう考えてもありえず、少子化対策もダメ、消費税増も移民もイヤであるなら、高齢者が急激に死んでくれることを期待するよりほかないんじゃないかい? それとも75歳ぐらいまでは働いて税金払ってもらうとかさ。

上にもあるように、選挙では高齢者(高齢者予備軍も含め)が強いに決まってるんだから、社会保障費削減政策なんて実現しようがないだろうからな。

ところで2011年時点での「平均代替率」は82%だったらしい。すなわち、生産年齢人口 1 人当たりの所得は 316 万円であったのに対し、65 歳以上人口 1人当たりの社会保障給付額は 261万円とのこと。

ここでは議論の大枠を踏まえるために、年金、高齢者医療、介護について、平均代替率をど う制御するかで中央・地方政府の基礎的財政収支均衡を維持するための必要な消費税率、さらには国民負担率が長期的に変わってくることを、マクロの視点から試算する。試算上での平均代替率は、65 歳以上人口1人当たりの社会保障給付(65 歳未満への医療給付、雇用保険給付、子ども手当等を除く社会保障給付)の生産年齢人口1人当たりの平均所得(雇用者報酬及び混合所得)に対する比率と定義する。こうして計算された現在の平均代替率は 2011 年度の実績で82.4%である。すなわち、生産年齢人口 1 人当たりの所得は 316 万円であったのに対し、65 歳以上人口 1 人当たりの社会保障給付額は 261 万円だった。(大和総研「DIR30年プロジェクト「超高齢日本の30年展望」」(2013))

これは消費税率、あるいは国民負担率を上げるための議論のなかの記述なのだけれど、いまはその議論を外し、単純化する(他の条件を一定と仮にする)。

上で見たように、現在、生産年齢人口2.4人で高齢者1人を支えなくてはならなく、2050年は生産年齢人口1.2人で高齢者1人を支えることになる。ある時期の高齢者人口/生産年齢人口を基準にして、たとえば現在の平均代替率を基準としたら、2050年には生産年齢人口/高齢者人口比率が半減するのだから、高齢者への社会保障給付額をも半額130万円にするという「スライド」制でも無理矢理つくったらどうだろうかね。まあこれは冗談にしても、日本の袋小路の根源は、少子高齢化にあるので、最近は殆どすべて他の議論はこの派生物でしかないようにさえ思えるな。

冒頭の図と同じデータからの別の図だが、2012年だって目一杯なんだから、2050年の1.2人ってのはすでに上のおじいちゃん、崩れ落ちているにきまってるよ。そのおじいちゃんとは、いま三十代の「きみ」だぜ。




日本の財政は、世界一の超高齢社会の運営をしていくにあたり、極めて低い国民負担率と潤沢な引退層向け社会保障給付という点で最大の問題を抱えてしまっている。つまり、困窮した現役層への移転支出や将来への投資ではなく、引退層への資金移転のために財政赤字が大きいという特徴を有している。(DIR30年プロジェクト「超高齢日本の30年展望」

どうしたらいいだって? 新しい形態の家族=アソシエーションしかないんじゃないかい?

一般に流布している考えとは逆に、後期のマルクスは、コミュニズムを、「アソシエーションのアソシエーション」が資本・国家・共同体にとって代わるということに見いだしていた。彼はこう書いている、《もし連合した協同組合組織諸団体(uninted co-operative societies)が共同のプランにもとづいて全国的生産を調整し、かくてそれを諸団体のコントロールの下におき、資本制生産の宿命である不断の無政府主と周期的変動を終えさせるとすれば、諸君、それは共産主義、“可能なる”共産主義以外の何であろう》(『フランスの内乱』)。この協同組合のアソシエーションは、オーウェン以来のユートピアやアナーキストによって提唱されていたものである。(柄谷行人『トランスクリティーク』)

二十代の連中はだって? 彼らはとっくの昔に開き直ってシオラニストだろ。

@Cioran_Jp: 私が自殺を若い頃から考えてきたのは、人生を自殺の遅延と私が考えているからです。三十を過ぎて自分は生きていないだろうと私は思ってました。臆病だったからではないので、私はいつだって自殺を延期してきた。自殺という考えに私はしがみついてきた。自殺に私は寄生してきたんです。(シオラン)

パラサイト・スーサイド(Parasite Suicide)ってわけさ。

…………

困難な時代には家族の老若男女は協力する。そうでなければ生き残れない。では、家族だけ残って広い社会は消滅するか。そういうことはなかろう。社会と家族の依存と摩擦は、過去と変わらないだろう。ただ、困難な時代には、こいつは信用できるかどうかという人間の鑑別能力が鋭くないと生きてゆけないだろう。これも、すでに方々では実現していることである。

現在のロシアでは、広い大地の家庭菜園と人脈と友情とが家計を支えている。そして、すでにソ連時代に始まることだが、平均寿命はあっという間に一〇歳以上低下した。高齢社会はそういう形で消滅するかもしれない。(中井久夫「親密性と安全性と家計の共有性と」『時のしずく』所収ーー何を今更言ってるんだろう

ここに《あっという間に一〇歳以上低下した》とあるが、これはやや誇張のようだ。



ソ連崩壊以降、驚くべき平均寿命の低下があったとも言えるが、最近の上昇ぶりも目覚しい。

ロシアの人口は、 ソ連邦崩壊直後の 1992 年をピークに減少に転じ、 総人口は 2009 年 1 月までの 17 年間で約 6.6 百万人減少した。2007 年以降、減少幅は縮小し、2009 年には自然減を移民増でカバーして 10.5 千人増と、18 年ぶりに僅かながら人口増を記録した。ようやく長年の人口減少は一服した感があるものの、この主因は移民の流入増であって、長期的な人口減少傾向に終止符が打たれたものかどうかは判然としない。また、平均寿命は 67.9 歳(男性は 61.8 歳、2008 年)と BRICS4ヵ国の中ではインドを若干上回るものの、中国(74 歳)、ブラジル(73 歳)に比してかなり低い。一方で、ロシアの医師数(2008 年)は、人口 1,000 人当り 4.54 人 (日本は 2.15 人) と主要国の中では世界一多い。〔『ロシア連邦の医療』医療経済研究機構 専務理事 岡部 陽二)

『「財政破綻後の日本経済の姿」に関する研究会』では、財政破綻によるハイパーインフレーションをめぐって、次のようなメモがあるを見た(参照:「日本の財政は破綻する」などと言っている悠長な状況ではない?)。

・意外に悪影響の少ない劇薬?
・日本への教訓 – ハイパーインフレ恐るるに足らず?
・むしろ究極の財政再建策として検討すべき?

そしてこの「冷徹な」メンバーの方々はロシアの財政崩壊をも研究されている。

いささか不謹慎な話題かもしれませんが・・・。――旧ソ連が崩壊し、ロシアでは、それまで全国民に医療サービスを政府が提供する体制が実質的に崩壊しました。また、ソ連崩壊後の時期に死亡率が急上昇しました。……[送り状(2)]http://www.carf.e.u-tokyo.ac.jp/research/zaisei/ScenarioCrisis2904pdf.pdf

ーー以下、おそらく肝腎なところは、「オフレコ」なようだ。だが彼らがひそかに期待している「劇薬」の最も顕著な効果は何か? はなんとなく憶測できないでもない。

ひょっとすると、多くの社会は、あるいは政府は、医療のこれ以上の向上をそれほど望んでいないのではないか。平均年齢のこれ以上の延長とそれに伴う医療費の増大とを。各国最近の医療制度改革の本音は経費節約である。数年前わが国のある大蔵大臣が「国民が年金年齢に達した途端に死んでくれたら大蔵省は助かる」と放言し私は眼を丸くしたが誰も問題にしなかった。(中井久夫「医学部というところ」書き下ろし『家族の深淵』1995)

《お元気でいらっしゃいましたか? いちばん心配なのは長生きでございます!》(大江健三郎『懐かしい年への手紙』


…………

もし、現在の傾向をそのまま延ばしてゆけば、二一世紀の家族は、多様化あるいは解体の方向へ向かうということになるだろう。すでに、スウェーデンでは、婚外出産児が過半数を超えたといい、フランスでもそれに近づきつつある、いや超えたともいう。(中井久夫「親密性と安全性と家計の共有性と」より(2000年初出)『時のしずく』所収ーー二十一世紀の歴史の退行と家族、あるいは社会保障

ーーとすこし前に引用したが、フランスも実際に超えたようだ(「少子化を克服したフランス~フランスの人口動態と家族政策~」 第三特別調査室 縄田康光)。




  (「フランスにベビーブーム到来! 日本の未来は?」NTTコム リサーチより)

今やフランスにおける婚外出生比率は 50%を超えている(2007 年) 。事実婚に対する差別が解消されたことが非婚カップルの出産を促し、出生率上昇につながったと言える。一方我が国の婚外出生比率は、2.03%(2007 年)と先進国では異例の低さであり、また同棲している独身者は、男性 1.9%、女性 2.3%にすぎず、 「出産≒結婚」という傾向は大きくは変化していない。ただ、長期的には我が国においても婚外子が増加する傾向にあることから、婚外子が不利益を被ることのないよう議論を深めていく必要がある。(縄田康光少子化を克服したフランス~フランスの人口動態と家族政策~」) 

日本は、パラサイトシングルの国だからな、しかたがないさ! などと言い放つわけにはいかない。、世界の状況は次の通り。





パラサイトシングル率の国際比較


アジア先進諸国だけでなく、イタリアだって、わが日本の味方さ。でも婚外子はかなり遅れをとっているようだな。

イタリアの場合、2000年には婚外子は約10%だったものが07年には20・8%に上昇し、このままの上昇率で行けば、20年には出生児の2人に1人、つまり50%は婚外子になると推定されている。

 この急上昇の原因は、正式な結婚をせずに同棲(どうせい)する男女が増えたことだ。1972年と2008年両年の結婚総数、つまり教会での結婚と市役所での非宗教結婚の合計を比較すると、39万2千件から21万2千件に減少している。この結果、上記の結婚のどちらも行わないで一緒に住んでいる男女のカップル、つまり同棲カップルの総数はイタリア全国で現在63万7千組と推定される。

 わが国でも、夫婦別姓制度が導入されるとこれまでの家族概念が崩れ、同棲カップルが増加し、婚外子の数は欧米並みに急増する可能性がある。(坂本鉄男 イタリア便り 婚外子の急増

同棲比率までここでは貼り付けないが、日本の「男性 1.9%、女性 2.3%」ってあり? カップルは経済単位でもあるけれど、カップルになって困ることってなんだろ? カップルというか同棲してさ。ひょっとして自由に自慰ができなくなることかい?

結婚じゃなくて同棲でもジジェクのいうメカニズムはいっしょだからな、やっぱり同じ女や男じゃ「義務」になり勝ちなのさ。

ラカン派の用語では、結婚は、対象(パートナー)から“彼(彼女)のなかにあって彼(彼女)自身以上のもの”、すなわち対象a(欲望の原因―対象)を消し去ることだ。結婚はパートナーをごくふつうの対象にしてしまう。ロマンティックな恋愛に引き続いた結婚の教訓とは次のようなことである。――あなたはあのひとを熱烈に愛しているのですか? それなら結婚してみなさい、そして彼(彼女)の毎日の生活を見てみましょう、彼(彼女)の下品な癖やら陋劣さ、汚れた下着、いびき等々。結婚の機能とは、性を卑俗化することであり、情熱を拭い去りセックスを退屈な義務にすることである。(ジジェク『LESS THAN NOTHING』(2012) 私訳)

で、どうして海外の若いヤツラは同棲して子供つくっちゃうんだろ。



…………

※附記:「財政破綻後の日本経済の姿」に関する研究会 [論点整理メモ 2]  September 7, 2012: Miwa

*そんなことは誰でも知っている・・・・かもしれない?

・しかし、なかなか話題にならない・・・?――とりわけ、具体的内容を伴う話題とはならない。

・理由?:誰にとっても本格的検討はスタートすることすら容易でない・・・?どのように考えて整理・主張しても、意見の一致は容易には得られない?検討方法すら不明?面倒 ・ ・ ・ ? (バカバカしく阿呆らしい?) ――だから、 誰もが回避したくなる? (誰か ・ ・ ・挑戦してくれないかな・・・と見果てぬ夢を・・・)――そういう状態が続いてきたから、いまさら・・・?――そんな課題に(自らはもちろん、誰かが)挑戦することなど、夢にも見ない?

・ 「政府」の周辺では?――縦割りだから、誰も全体のことは考えない(考えられない)?

ウチだけは大丈夫・・・だと考える(たとえば、社会福祉・医療・教育や農業、対外援助、さらに科学技術の振興など)?だから、これは政治と財務省の検討課題・・・だと無視する?――直接の関係者・担当者は 「考えたくない」 と思っている?1 年や 2 年の在任期間中に急ぐ必要はない・・・?――さらに、周りがそう考えていることもあって実質的なタブー?――さらに、そんな余計なことを考える連中を近づけるな・・・?(自己防御あるいは組織防衛?)――(とはいえ、個人的には深刻な事態だと考えている官僚たちも少なくない・・・?)